2002年8月(奥穂高岳)

2002.8.22(木)〜8.24(土)

 

前書き

 O,Hと行く山行、標高の高い順に!ということで、1番目、2番目は既に行ってるので3番目ということになる。というわけで奥穂に行く訳だが、今回初の2泊3日となる。しかもテント泊を選択。木曽駒でデビューしているとは言え、まだまだド素人の域は出ないのでどうなることやら、という感じでスタートとなる。

 

8/21(水)
23:00  列車に乗る。白馬に行ったときと同じパターン。あの時とは違い、今日はかなり涼しかった。
23:35  「ちくま」に乗車。あの時とは違い、今日は混んでいて、隣も埋まっていた。そのため、ほとんど寝ることができなかった。
8/22(木)
4:14   松本着。駅前のコンビニで買い物をし、松本電鉄新島々行きに乗る。この列車は山屋専用列車と言ってよく、新島々までなんとノンストップ。新島々からはバスに乗りかえる。
6:20
 定刻より10分早く上高地に到着。初めてこの地に降り立った感想は、寒い!気温は10度を割ってる模様。先が思い遣られる。「さわやか信州号」で、東、西からやってきたO、Hと落ち合う。
6:50  出発。すぐに梓川沿いに出る。頗る天気は良い。目指すべき高みもしっかり見える。が、今日はここまで到達しない。問題は明日の天気であって、今日は雨さえ降らなければなんでもいいのだが。もったいない!?


上高地から見た奥穂高岳

8:39

 明神、徳沢とやってくる。ここまでは平らな道がひたすら続くのみなので、荷物が重いのも気にならず順調なペースであった。
今日は涸沢までなので、スケヂュールには余裕がある。天気も良いみたいなので、パノラマコースに行ってみようという気運が高まる。地図上のコースタイムで見ても、横尾経由と変わらないみたいだったので決行となった。
 徳沢から10分ほど歩くと、新村橋に着く。この橋を渡るとパノラマコースだ。しばらくは川と並行した道のため今まで通りの勾配であったが、川に対して垂直になった途端、苦しくなる。わずかな勾配なのに相当しんどい。天気が良すぎることも手伝って暑く、体力を奪われる。休憩の間隔も短くなる。余りのきつさに、この道が、奥穂に向かう「重太郎新道」ではないか、と錯覚してしまうほど(笑)
 上高地の方から槍、穂高方面に向けて、荷揚げ用のヘリコプターが頻繁に往復する。非常にやかましい。今日のような好天の日にできるだけ荷物を運ぼうとしているのか。


パノラマコースより屏風のコル方面を見る

13:28  新村橋から4時間半、ようやく屏風のコルに到着する。ここから北東方には、屏風の耳、屏風の頭という展望所があるが、皆疲弊してそんなところに行く余裕は全くない。標高差800bは伊達ではなかった。。
 ここまで来て「パノラマコース」の本領をようやく発揮。槍、北穂、涸沢、奥穂辺りが見渡せる。ここまで来たら涸沢までは後わずかということでしばらく滞在する。


屏風のコルより涸沢カール。左が奥穂、右が涸沢岳


屏風のコルより槍ヶ岳

14:15  涸沢に向けて出発。ここからは下りで楽だと思っていたが、とんでもなかった。もちろん全体的には下り基調ではあるが、アップダウンが激しい道。なおかつ道の整備状態が悪く、危険な区間が続く。もう登りは終りだと思っていた体には応える道。私は早く着きたいの思いで、先頭で休憩を取らずに進んでいくが、O,Hを大きく引き離してしまう。コルからずっとヒュッテは見えているのだがなかなか近づかない。


こんな感じの危険箇所がいくつかあった

15:10  涸沢ヒュッテに着く。5分後にOが、さらに5分後にHが到着。テラスに行ってみると景色が良い!
 揃ったところで,すぐにテン場へ。テン場はヒュッテのすぐ下にあった。岩がごつごつするサイトに、二人用のテントを2張張る。
 落ち着いたところで再びヒュッテへ。「パノラマ売店」には「生中」が売っている!思わず手が出てしまう。それと、おでんを食べる。至福の一時であった。天気は良いが若干寒かったのが難点だったが。

 


涸沢ヒュッテテラスより北穂方面。左の建物は涸沢小屋
17:00  夕食の準備に取り掛かる。夕食も、ヒュッテに隣接した屋根付きテーブル、椅子を利用。今日のメニューは親子丼、ソーセージの入ったみそ汁。いずれも空腹下であることもあり満足の行く味であった。
 そして食後は、「明日の昼食」準備。アルファ化米を戻して、おにぎりを作る。普段全くしない作業のため、個人的にかなり手間取った。
18:30  食事終了。後片づけをして、テントに入る。外は寒くてもテントの中は暖かい。テント内で明日の予定についての相談。ピーク(奥穂高岳)にこだわらず、稜線歩き(北穂高岳→穂高岳山荘)を主眼に置きたいHと、あくまでもピークに行きたいと主張する私とで揉めたが、結局両方行く(涸沢→北穂高岳→穂高岳山荘→奥穂高岳)ということで落ち着いた。明日は早発になりそうだ。
20:30  就寝
8/23(金)
4:30  4時起きのつもりだったがこの時刻に起床。既にほとんど出発準備はできているのでそれほど時間はかからなかった。
5:16  出発。まずは北穂高岳を目指す。3時間かかるとのことだが、すぐ側に見えているのでそんなにかかるの?という感じでスタート。今日はアタックザックで臨む。と言っても、先日白馬に登ったのと同じやつで。今回はさすがに相当に余裕があった。
涸沢小屋の横を抜け、北穂への上りに取り掛かる。急な上りではあるが、昨日とはちがい荷物がないのでさくさく登れる。あっという間にテン場が小さくなっていく。下界の方からすごい勢いで上昇気流が流れている。既に前穂の辺りは雲で見えなくなっているが、あとの山はまだ「無事」だった。
 と,その時!はるか右上方から大きな落石が!!乾いた音を立て、500kgほどの石が転げ落ちていった・・・・・・。登山道から外れた全く人のいないところで何の問題も無かったが、もしあれが自分たちの上から落ちてきたとしたら・・・。想像しただけでも恐ろしかった。
 段々煮詰まってくると、鎖場、梯子が見られるようになる。そして、北穂のテン場に着く。ここのテン場は、文字通り「場所」があるだけで、北穂山荘まではかなり遠く、水などの調達もままならん。風もかなり強そう。しかもこんな高いところまで・・・。ここでの野営は相当な困難が予想された。


北穂南稜より、前穂高岳(左)

 


屏風のコル


ザイテングラートと奥穂高岳

7:40  標高3106bの北穂高岳に登頂。頂上は風が強く、止まるとかなり寒い。ここから、H垂涎(?)の、飛騨泣き、大キレット、そしてその先には槍がよく見える。来年は槍に行くつもりにしているが、Hは槍から穂高までの縦走を企んでいる。今回はその「下見」の意味で、どうしてもここに来てこの大キレットを見たかったのだった。しかしそれにしても、真下に数百mも落ち込み、さらに数百b真上にせり上がって見えるようなこんなところ、行ったらヤバイやろ、と思わずにはいられないほどの高度感があった。しかしこれから我々が目指す涸沢岳までの縦走路もかなりの危険度。大丈夫なんかいなと不安がよぎる。


北穂から槍ヶ岳方面。大キレットが凄い!


北穂から奥穂高岳。目指すべき岩稜が見て取れる。

8:04  出発。分岐を越えていよいよ稜線伝いの道へ。北穂山頂から涸沢岳までの道のりはアップダウンの連続。落石の危険性が高いところで、なおかつ足場も悪いので慎重に行く。が、私が先頭になっていくと、あっという間に差が付いてしまう。個人的に特に急いでいるつもりはないが、Hに「早すぎる」と言われて、Hが先頭になっていってもらうことにする。
 八ヶ岳の横岳の辺りを思い起こさせるが、そこほど怖くはなかった。実際にそうなのか、こういう道に慣れてきたのか?不明。下写真のようなところを登ったり下りたりする。この場所にいるときはそれほど危険性を感じなかったが、改めて見ると、岩全体がいつ崩れてもおかしくないところであることがよく分かる。。
 この辺りのどの場所からでも、涸沢のテン場が見下ろせ、なおかつ自分たちのテントを確認することさえできる。もっとも、ここでテントが荒らされていることが分かってもどうすることもできないが。また、涸沢までの間は、上部の岩場をクリアすれば後は砂地あるいは石ころ地帯。滑って降りていけばすぐに着けそうに感じてしまう。が、小さな石がごつごつして見えるのは、人間よりはるかに大きい岩であるという罠。そこを降りて行こうものなら、岩もろとも転げ落ちることは間違いないだろう。。
 涸沢岳へ向けての最後の急登がクライマックス。鎖、梯子の連続。さすがに恐怖を感じる場所。鎖場、梯子では順番待ち必至。じっくり時間を掛けて登っていく。

10:27  涸沢岳に登頂。ほっと一息。しかし寒い!ここから穂高岳山荘まではすぐで、しかもかなりなだらかな道。そして先に見えるのは奥穂高岳。
 エネルギー切れなのでおにぎりを食べる。テキトーに作った割には行ける!これはOの発案であったが、今回のヒット商品と言えた。
10:54     穂高岳山荘に到着。予想以上に早くここまで来ることができた。北穂までの上りを頑張ったおかげである。
この山荘の近くにも何とヘリポートがあった。山荘内に入り、休憩。ヘリポートのおかげ(?)で、最近建てられたのか非常にきれいであった。ここでそばを食べる。
11:27  たっぷり休憩し、いよいよ奥穂へ向けて出発。いきなり梯子&鎖場の連続地帯で往生。しかしそこを抜けると歩きやすい道ばかりだった。
12:07  奥穂高岳に登頂する。 しかし既に霧がかかってしまい、視界は限りなく0になってしまう。。。とりあえず日本第三位の高峰に一歩を記したというだけの状態になってしまう。 近くにあるはずの、「ジャンダルム」も、涸沢岳にいた頃の方がよく見えた。
12:27  いくら粘ってもどうしようもなさそうなので、下山。相変らず後続に抜かれながら進んでいく。最後にある梯子&鎖場で、すれ違いで登ってくる客との行き違い待ちで時間がかかる。
13:14  ということで上りよりも時間がかかり、穂高岳山荘に到着する。小休止の後、涸沢へ向けて下山。ザイテングラートを経由する。屏風のコルで見たときは、あんな急なところ行かれへんで、と思えるほどの場所であったが、実際に来てみると勾配はそれ程急には感じなかった。しかし、岩場の急な下りはかなり長かった。それを抜けると砂利道となり、歩きやすくなる。涸沢のテン場、近づいているはずだが既に霧に包まれているためほとんど見えない。そのために遠くに感じる。いや、実際に遠かった。


ザイテングラートから涸沢


ザイテングラートを抜けて振り返ったところ

15:35  涸沢のテン場に到着。雨が降りそうだったが、登山中は何とかもってくれて助かる。今日もテラスに赴き、カップラーメンと生中の軽食を取り、その後夕食。今日はレトルトカレーとした。食事の準備をしている頃から雨が降り始める。天気の情報は水曜晩の古いものしかないが、土曜は天気が悪いとのこと。鬱だ・・・。
18:50  雨が本降りになる前にテントに戻る。明日の行程の確認。出発時刻、下山後の予定を決める。雨は本降りになるがやがて上がる。
21:00  しょうもないウダ話をして、就寝。しかし、「前日ちゃんと眠れた身」にとって、個人的にこの空間は眠れなかった。起床時刻を迎えるまで、記憶が飛んでいた時間は1時間くらいしかなかった・・・・・・。

8/24(土)

4:30  待ちに待った朝が来た。まだ明るくなるにはちょっと早いが、おもむろに出発準備。外は若干雨が降っていて、撤収するのに往生。ただ、本降りではなかったのが救いであった。
6:25  涸沢を出発。食糧を食い尽くしたこともあって、行きに比べて荷物は相当軽く感じた。涸沢から本谷橋までの道のりは、パノラマコースのそれとは比べ物にならないほどに楽だった。この道なら楽に、ハイキング感覚でも来れるな、というほどで、何で一日目わざわざ苦しんだのか分からなくなるほどであった。
 弱い雨が降り続く。しかしここまで来ると森林の中に入ることも多いため水滴が直接当たることなく、それ程苦にはならなかった。
7:45  本谷橋に着く。渡ろうとしたその時、15人ほどの団体が対岸に。この橋は一人ずつしか渡れず、一人渡るのにおよそ20秒要する。ここで大きく足止めか・・・。5人ほど遣り過ごしたあとに、何とか渡らせてもらえる。ここがどうもボトルネックになっている。だったら複線化しる!
 一応ひと区切りついたが、雨が降ってどうしようもないので、横尾まで休まず頑張ることにする。道はだいぶ歩きやすくなっているが、ペースが上がらない。そして、後続の登山者に次々と抜かされて、コースタイムより遅れていることが気になって仕方が無くなってくる。
8:40  立派な大橋を渡って、横尾に到着。ここで大休止。しかし雨は止まない。上に、雨のしのげる場所が人で完全に埋め尽くされており、休憩する場所としては不適当だった。
 ここで、降りてからゆっくりしたいのならば、もう少し早く行くべきだ、とH,Oを必要以上に急かしてしまう。
9:00  出発。急かしてしまったこともあり、ペースが上がる。ここからは登山道と言うよりは遊歩道なのでサクサク行ける。しかしまだ上高地までは11キロもあるのだった。
9:45  徳沢に到着。ちょっと飛ばしすぎた。ということでここからは普通に行くが、それでもコースタイム以上で行ける。そんなに心配することも無かったようだ。
 横尾ではほとんどが登山客だったのが、このあたりからだんだん一般客が多くなる。明神を過ぎるともうほとんどが一般客で、逆に我々が浮いてしまうほどとなる。時間帯が遅くなり、上高地に近づくにつれその割合は急速に変化していくのが見て取れた。
11:40  予想していたのよりも若干早く、上高地に到着する。ものすごい人、人、人!まさに人ゴミ、といったところ。ここから一刻も早く脱出すべく、バスチェック。すぐに、我々の目指す平湯行きのバスが出るようだった。しかし、バスターミナルに入れないバスを遣り過ごすため、いきなり10分も出発が遅れるなどなかなか脱出させてくれない。走り出すと、対向車線は全てバスの大渋滞!!!!その大半が団体ツアーのバスであった。およそ3キロほどその列は続いていた。ちょっと酷すぎる・・・・・・。
 中の湯を過ぎて一般道に出る。すぐに安房峠トンネルに入る。こちらは超ガラガラだった・・・。
12:30  平湯温泉BT(バスターミナル)に到着。BTの近くにある露天風呂に入る。洗い場も何も無い、本当に単なる「露天風呂」であったが、三日間の垢を洗い流すのには十分。
13:10  湯から上がり、今度は食事。これまたBTの近く(荷物が重いので機動力がない!)のそば屋へ。しかしメインは飛騨牛のようで、我々は飛騨牛陶板焼定食を注文。とろけるような食感と旨みに大満足。。
 予想以上に早くあがってこれたので、東に行くO、西に行くHと私共に予定していたのより一本早いバスに乗れるようだったので、そうする。
14:15  高山行きのバスに乗る。Oはこの10分後に出発する新宿行きのバスに乗った。到着直前、かなりの客が乗っていて座れるか怪しかったが、8割はここで下車した。皆クルマをここに置いているのだろう。
15:15  高山に到着。高山に着く時間が早まっても、18で行く我々は帰宅時間に変化はなかった。その代わりここで時間ができたので、高山を観光。H垂涎の「古い街並み」を見に行く。土曜ということもあって通りは人で溢れかえっていた。
16:26  高山発。私は7時半に帰れるが、Hが帰宅できるのは10時を回ってしまう。ご苦労様である。
19:40  帰宅。すぐに旅の後片付け。割と早く帰ってこれたことと、次の日が休みであることが非常にありがたかった。

 

後書き

 昨年来の懸案であった穂高岳、それもテントによる山行、無事に特に大きなトラブルなく完遂することができた。今回もあいにく天候には恵まれなかったが、まあ3000m峰の「平均的」な天候であったように思う。奥穂以外余り関心を抱いてなかった私にとって、北穂からの縦走はかなり刺激的であった。北穂から見た大キレット、はっきり言ってやばいやろ、とは思うが、機会があれば挑戦してみたく思えてきた。
 あと、テント泊に関しては、やっぱり荷物増によって所要時間が大きく変わることと、相変らず全く寝れずに苦労するということが印象に残った。個人的に言えばテントのメリットは薄いといえるが、それなりに楽しい部分もあった。今後も、何とかこれにも対応していきたいと思うのであった。

 
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